「海外研修報告」
海外研修報告11 : 不妊症・周期療法の研修
古村滋子先生が行ってきました。
2004年11月23日~28日の間、昨年に続く第2回目の南京中医薬大学での不妊症・周期療法の研修を受けました。
23日 関空から南京への直行便は3時間半で到着です。
早速に周期療法で有名な南京中医薬大学附属病院による歓迎会がありました。
包副院長、夏桂成教授、談勇教授、南京中医薬大学附属病院関係者が出迎えてくれました。
24日 ◆婦人科講義
談勇教授は旭川医大で6年間研修をされ、流暢な日本語で講義されました。
「周期療法と生殖医療」と題して、現代生殖医療、人工受精、体外授精、顕微授精などの現状と漢方医療との併用の話しを聞きました。
またIVF-ETを行う前に漢方薬を用いて月経周期を調整し、卵巣機能を改善し、内分泌の環境を改善することが受妊率を上げることになると強調されていました。
さらに多嚢胞性卵巣の人がなりやすい、卵巣刺激過剰症候群について、その影響は五臓に及び死に至ることもある為、適切な対応が必要とのことです。特に予防に目を向け、漢方の必要性を話されました。
◆周期療法講義
不妊症の周期療法では世界で第一人者といわれる夏桂成教授の「子宮内膜症」の講義を受けました。
子宮内膜症と月経周期、周期療法を用いるポイントなどを詳しく伝授していただきました。
「内膜症」の病理は「お血」でありますが、他の要因もからんでくるため、漢方的にしっかり症状を把握して対応することが大切との内容でした。
25日 ◆夏桂成先生の不妊症外来研修(初日)
「名医堂」という別棟で不妊治療の特別診療されている夏桂成先生の外来には沢山の方々が受診されていました。
優しい眼差しで横に座っている患者さんの脈をとり、舌を診て、語りかけるような診療には「医の原点」をみる思いでした。
◆劉沈林院長(南京中医薬大学 附属病院 院長)の特別講演
「中医における保健養生の作用」と題して講演されました。
その中で中医学の理論、自然界の中の一部としての人間、局部でなく全体を捕える整体観念を記され、特に心の持ち方、情緒活動の大切さも話されました。
また、食事療法について、長寿は食事と関係があり、長生きの人は少食であること、食後の散歩も長寿の秘訣であると日々の養生について話されました。
◆不妊症の症例検討会
昨年の症例検討と同じく、今回の症例検討は私の持って行った日本の患者さんの症例を取り上げてくれました。幸運です!!
月経、帯下、検査データなど相談の細かい指示を受け、また、多嚢胞性卵巣の講義もあり、充実感あふれる3時間で南京に来た甲斐がありました。
26日 夏桂成先生の不妊症外来研修(2日目)
25日に続いての外来研修です。
朝8時からの外来は午後2時頃まで続き、ご高齢の夏桂成先生のお身体が心配になりましたが、日常から健康に留意され、夜は殆んど外出・外食されず、養生されているということです。
精力的に不妊症治療をこなしておられる姿は実年令よりも10才も若いように見えます。
壁には夏桂成先生創作の太極図が貼られ、とくに私の目を惹きました。
次回は是非、この意味を受講したいと思っています。