「高脂血症・高コレステロールの症状と漢方薬」
高脂血症とは、脂質(コレステロールやトリグリセリド)が血液中に異常に高い状態をいいます。原因は、運動不足、ストレス、過労、食事の不摂生などがあり、病的なものでは糖尿病、クッシング症候群などがあります。これにより、頭痛、肩こり、不眠、動悸などの症状が現れます。
高脂血症の中医学的考え方
漢方では、血液中に脂肪が異常に増加した状態は、「お血+痰濁」ととらえます。すなわち血の流れが悪くなって、且つ体液と油濃いものが滞っている意味です。これらの溜まったものを取り除き、または脂質が増えるのを防いで、血流を良くする漢方薬を用います。
高脂血症の漢方処方例
温胆湯 冠元顆粒 防風通聖散
※体質により漢方薬は異なりますので、ご相談ください。
高脂血症のケーススタディ
春は血圧が乱高下する季節
43歳のYさんは、先に行われた会社検診で総コレステロールが280㎎、中性脂肪が310㎎あり、高脂血症と診断され来店されました。
最近高脂血症の人が増えてきています。動脈硬化学会での新しい基準値は、100mlの血液中の血清にある総コレステロール値が220㎎以上、または中性脂肪が150㎎以上ある場合に高脂血症と診断されます。コレステロール値が高いと動脈に沈着して動脈硬化症や脳梗塞、心筋梗塞などを起こしやすくなるので、注意が必要です。
漢方医学では高脂血症を「痰濁お血」として捉え、血管の内側に粥状のドロドロした脂が沈着し(痰濁という)、その結果、血液の流れが滞ってしまう(お血)と考えられます。 その原因は遺伝によるものと、飲食不摂生やストレスにより「気血の流れ」が悪くなって血脂が沈着してしまうものがあります。
漢方での治療と予防は、血液の流れをサラサラにする生薬「丹参」が入った冠元顆粒や、脂肪・糖分の吸収を抑制する酵素が入った晶三仙をよく使います。
Yさんは医師からの薬を飲んでいましたが数値が下がらず、前述の漢方薬を併用されて正常値に戻りました。日常のお茶としてはプーアル茶がよく使われますが、最近は中国で取れるグミの実が脚光を浴びています。
夫婦で高脂血症
ご夫婦で相談にこられる方は多く、いずれも体格、体質がよく似ています。食生活が同じだから体質が似るのは当然ですが、よくよく見ると顔まで似てくると思いませんか?
昔、子供の学校の運動会で、家族で応援にこられている人を見ていると、どの人がどの方の奥様かわかることを知りました。
さて、話はもどって、高脂血症の相談です。
56歳男性Hさん、コレステロール、中性脂肪とも高く、脂肪肝を指摘されている、慢性膵炎がある、耳鳴りがする、タバコ、酒はのまなという方です。体重は比較的少ないので、脂肪分の摂取が多いことが問題のようです。
奥様も同様にコレステロール、中性脂肪が高く、血糖値は空腹時で130程度、糖尿病も心配でした。従来から<温胆湯>を使っていただき、安定していたのですが、最近データーも悪化傾向とのこと。そこでお薬を変更し、ご夫婦で使っていただくことにしました。
お薬は、脂質代謝の促進を目標に、九味半夏湯という漢方薬、商品名は<扁せき>をお使いいただきました。ダイエットの漢方として使われるものですが、高脂血症にもおすすめです。
※その他にもたくさんのケーススタディがありますので、ブログ内で検索してみてください。